環境の変化に負けない身体づくりに必要なことは?

コロナ禍を経て生活スタイルが変化し、ストレスを感じやすくなったりしていませんか?それに加えて寒くなってくると体調を崩しやすくなりますし、風邪やインフルエンザ、ノロウイルスなどにもより配慮が必要です。
がんの治療中の方、高齢者や基礎疾患のある方でも、そのような状況にも負けない身体をつくるために、気になる「免疫」の基本と食事について紹介します。

食事で免疫力アップ!!と言われますが本当でしょうか?

食事で免疫力アップ!!と言われますが本当でしょうか?

「免疫力をあげて風邪の季節を乗り切ろう」「◯◯を食べると免疫力がアップ!」
など、メディアでもクチコミでも「免疫力」という言葉を目にする機会は多いですが、免疫と健康にはどのような関係があるのでしょうか。

細菌やウイルスなどから身体を守る「免疫」

免疫とは、体内に細菌やウイルス、アレルゲンなどの異物が入ったときに、それに抵抗して排除しようとする生体反応のことです。

免疫のしくみには、免疫細胞が体外からの異物の侵入を防ぐ第一段階と体内に侵入した異物に攻撃をして排除する第二段階があります。これらの免疫機能がうまく働かず、体内で細菌やウイルスが増殖し、一定の病変が現れるのが「感染」です。

免疫細胞は一種類ではなく多くの免疫細胞が、「異物(病原体)を見つける」「異物の情報の伝達を伝達する」「異物を攻撃する」などそれぞれの役割を持ち、連携して働きます。
免疫機能は大きく分けての「自然免疫」と「獲得免疫」の2つ。「自然免疫」は、もともと人体に備わっている防衛機能で、異物を攻撃して排除する役割があります。自然免疫細胞はマクロファージや顆粒球、NK(ナチュラルキラー)細胞などがあげられます。それに対して「獲得免疫」は後天的に獲得する免疫で、自然免疫では防げなかった細菌やウイルス、アレルゲンなどの異物の特徴を記憶して、的確に攻撃を行います。獲得免疫細胞には、ヘルパーT細胞、キラーT細胞などがあります。

では「免疫力」って何でしょうか?

「免疫力」という言葉が、医学や科学の用語として使われることはありません。

体調などによって「免疫の働きが悪くなっている状態」や、「免疫反応が過度に働いてアレルギー症状がでてしまうこと」もあります。
ですが、複雑な仕組みである免疫は「高い・低い」とか、「強い・弱い」という指標で、ザックリと測るのは難しいのです。
また「免疫がバランスよく適切に働いている状態」があります。
この状態を保つことが、環境に負けない身体を維持するには大切なのです。
「免疫力をあげる」という言葉に惑わされないでくださいね。

「免疫力」をめぐるウソとホント

ということを確認した上で、「免疫力」をめぐる色々な言説について、見ていきましょう。

  • 運動すると免疫力がアップする?

    散歩やストレッチ、軽いジョギングなど適度な有酸素運動は、健康に良いと言われています。しかし、高強度の運動は免疫機能を低下させるという調査結果※1もあります。ですから、環境に負けない身体づくりには、フルマラソンなどプロのアスリートがするような過度な運動は、専門家の意見を仰ぐなど注意が必要かもしれません。

    ※1 スポーツ活動における口腔内局所粘膜免疫能の低下および回復/筑波大学 花岡裕吉

  • ストレスは免疫力を下げる?

    過度なストレスや継続的なストレスがかかると免疫系に影響を及ぼす調査結果※2があります。ただストレスがないからといって、免疫の働きがよくなるというわけではないようです。

    ※2 JuoEH(産 業 医科 大 学 雑 誌 )15 (2 ): 161 ? 171 (1993 )「ストレスによる免疫脳の変化と脳・免疫連関」

  • ◯◯を食べると免疫力がアップする?

    特定の食材が免疫の働きに左右することはありません。免疫の仕組みはとても複雑で、そんなに簡単に働きを良くしたり、抑えたりすることはできないのです。

    免疫の働きを良くしたり、抑えたりするのではなく、バランスよく適切に働いている状態にすることで、気温の変化やストレスなどの環境に負けない身体を維持できます。では免疫を維持するために、すぐに取り入れられることは何かあるのでしょうか。

環境に負けない身体づくりに大切なのは「日々の食事」

環境に負けない身体づくりに大切なのは「日々の食事」

免疫を維持して環境に負けない身体をつくるためには、毎日の食事が大切になります。規則正しく食事をとりましょう。
献立を考える際は、肉、魚、卵や豆腐などのたんぱく質を多く含む食材、不足がちなビタミンや食物繊維を含む野菜や果物、ミネラルを含む海藻や乳製品などをまんべんなく取り入れられているかをポイントにすると良いでしょう。そうすれば自然と食事全体の栄養バランスもよくなります。
ですから「○○を食べたら免疫力があがる!」という、現在解明されていないことを信じて、そればかりを食べて食事内容が偏ってしまうと、栄養バランスが崩れて逆効果になってしまうことがあるので注意が必要なのです。
そして、何より大切なのは、食事を楽しむこと。一緒に食卓を囲む家族や友だちとの会話や適度な運動による疲労感と空腹感がとっておきのスパイスになりますよ。

環境の変化に負けない身体づくり

さば缶とキムチの具だくさんみそ汁

さば缶とキムチの具だくさんみそ汁

栄養士コメント

さば缶のうま味とキムチの組合せで「だしいらず」。常備しやすい缶詰や冷凍野菜を使ったおかずにもなる簡単みそ汁です。一品で魚と野菜を一緒に食べられます。

栄養価(1人分)

エネルギー 210 kcal
たんぱく質 22.3 g
脂質 10.7 g
炭水化物 4.4 g
食物繊維 1.9 g
食塩相当量 2.2 g
カリウム 427 mg
カルシウム 290 mg
マグネシウム 54 mg
リン 220 mg
2.2 mg
亜鉛 1.9 mg
ビタミンA 155 µg
ビタミンE 4.0 mg
ビタミンB1 0.17 mg
ビタミンB2 0.47 mg
ビタミンB6 0.43 mg
ビタミンB12 11.4 µg
葉酸 66 µg
ビタミンC 12 mg
ビタミンD 10.5 µg
コレステロール 80 mg

材料(1人分)

使用量

さば水煮缶(汁も含む) 1/2缶(95 g)
キムチ 25 g
130 ml
冷凍ほうれん草 30 g
みそ 小さじ1(6 g)

手順

  1. 鍋に水、さば缶の汁を入れて中火で加熱します。沸騰したら、さばの身、キムチ、ほうれん草を加えます。
  2. 再び沸騰したら、火を止めて、みそを溶き入れたら完成です。

レンジで
押し麦ときのこのチーズリゾット

レンジで 押し麦ときのこのチーズリゾット

栄養士コメント

お米を炊くより早く作れて簡単。レンジで加熱するだけのお手軽リゾットです。押し麦やきのこは普段の食生活で不足しがちな食物繊維を含んでいます。

栄養価(1人分)

エネルギー 252 kcal
たんぱく質 9.2 g
脂質 6.2 g
炭水化物 42.6 g
食物繊維 6.7 g
食塩相当量 1.5 g
カリウム 292 mg
カルシウム 136 mg
マグネシウム 22 mg
リン 253 mg
0.8 mg
亜鉛 1.5 mg
ビタミンA 52 µg
ビタミンE 0.3 mg
ビタミンB1 0.12 mg
ビタミンB2 0.18 mg
ビタミンB6 0.12 mg
ビタミンB12 0.6 µg
葉酸 24 µg
ビタミンC 0 mg
ビタミンD 0.3 µg
コレステロール 16 mg

材料(1人分)

使用量

押し麦 50 g
しめじ(石づきをとってほぐします) 1/2パック(50 g)
200 ml
顆粒洋風スープの素 小さじ3/4(2.3 g)
ピザ用チーズ 20 g
粗びき黒こしょう 少々

手順

  1. 押し麦はさっと洗い、ざるにあげて水けをきります。
  2. 耐熱性の大きめのボウルに1の押し麦、しめじ、水、洋風スープの素を入れて混ぜ合わせ、ラップをふんわりとかけます。
    ※ボウルが小さいと吹きこぼれることがあるので注意しましょう。
  3. 電子レンジ(600W)で5分加熱します。一度取り出して、軽く混ぜて再びラップをし、3分加熱をします。
  4. チーズを加えて、さらに1分加熱をし、全体を混ぜ合わせます。器に盛り、こしょうを振って完成です。