その他の治療法「補完代替療法」※補完代替療法には、がんの進行を抑える科学的根拠はありません。

補完代替療法とは

補完代替療法とは、通常のがん治療(手術療法、薬物療法、放射線療法)を補ったり、代わりにおこなう医療のことを指します。インターネットやSNS上では、サプリメント、健康食品、鍼灸などさまざまな補完代替療法が紹介されています。

がん治療における効果

補完代替療法のなかには、「深刻な副作用がなく、がんの進行を抑えられる」とうたっているものがあります。しかし、補完代替療法は科学的な根拠を示す臨床試験がおこなわれていないものがほとんどで、研究がおこなわれた一部の治療法でも、がんの進行を抑える効果が認められたものはありません。
補完代替療法のなかには、有害なものや、標準治療の効果を妨害する可能性があるものも含まれます。補完代替療法の実施を希望される場合は、必ず主治医に相談をしましょう。

症状緩和における効果

補完代替療法には、がんの進行を抑える治療法はありませんが、がんやがん治療に伴う一部の症状を緩和する効果が期待できるものがあります。

臨床研究において、がんに伴う症状に「効果がある可能性」が示された補完代替療法をご紹介します。

タイ式アロマテラピー※1とマッサージ※2

対象:
化学療法中の大腸がん患者さん

期待できる効果:
がんの痛みを軽減する可能性がある。

  1. アロマテラピー…植物の花、葉、種子、果皮、樹脂から抽出した精油(エッセンシャルオイル)を用いて病気の治療や予防、心身の健康やリラクゼーション、ストレスの解消を目的とする療法。
  2. マッサージ…主に手を用いて、からだの表面に「さする」「もむ」「圧迫する」など物理的刺激を与え、からだの調子を整える療法。日本のあんまや指圧、ヨーロッパのリフレクソロジーなどさまざまな種類のマッサージが存在します。

アロマテラピーとマッサージ

対象:
隔離中の血液がん患者さん

期待できる効果:
コルチゾールを低下させ、心理的に良好な状態にする可能性がある。

  • コルチゾール…副腎皮質でつくられるホルモン。ストレスを感じると分泌されるため、ストレスホルモンと言われています。
アロマテラピーとマッサージ

マインドフルネスストレス低減法

対象:
がん患者さん(がんの種類に関わらない調査)

期待できる効果:
睡眠の質の改善と心理的なストレスを軽減する可能性がある。

  • マインドフルネスストレス低減法…仏教的な瞑想法とヨガで構成されたプログラム。あるがままを受け入れられる心を目指す、心のトレーニング方法です。

ヨガ

対象:
がん患者さん(がんの種類に関わらない調査)

期待できる効果:
眠りにつくまでの時間の短縮、睡眠時間の延長、睡眠の質の改善など睡眠障害への効果が期待できる可能性がある。

  • ヨガ…運動の要素だけでなく、心の平定と平静を導く瞑想の要素をあわせもつ療法。対位法・ポーズ、呼吸法、瞑想法の3つを組み合わせたものが多い。
ヨガ

補完代替療法についてさらに詳しく知りたい方へ

厚生労働省の『「統合医療」情報発信サイト』ではエビデンス(根拠)に基づいた補完代替療法の情報をわかりやすく紹介しています。詳しく知りたい方はこちら