がん患者さんのためのお助けごはん
超簡単レシピと食事のヒント 下痢編
食事から栄養をしっかり摂ることは、体を回復させるための大事なポイントです。一方で、がん治療中に現れるさまざまな副作用で、食べるのが難しくなってしまうことも。そんなときに無理なく食べることができて、栄養が摂れるメニューを、国立がん研究センター中央病院 栄養管理室長 管理栄養士の土屋 勇人 先生と一緒に考えました。ここでは、おうちにある食材、コンビニエンスストアやスーパーで手に入るものを使った副作用別の超簡単レシピ、外食するときのメニュー選びなどの食事のヒントをお伝えします。
あなたのお気に入りを見つけてみてください。
今回のテーマは、がん治療中の副作用として経験される方が多い下痢です。下痢は腹痛や腹部不快感、軟便、水様便を繰り返すといった症状の他に、吐き気や食欲不振が現れることもあります。
1. 管理栄養士からの
アドバイス
「下痢のときにおすすめの食事とは?」
下痢の症状があるときは
- 水分の補給…飲み物だけでなく、食事にスープなど汁ものを積極的に取り入れる
- 栄養素の補給…下痢で失われやすいミネラルを意識して摂る
- 胃腸に負担をかけない…香辛料、酸味の強いもの(酢、柑橘系など)や、脂質や繊維の多いものは避け、適温で
これらの点に注意して食事を選ぶと良いでしょう。
2. おうちで作る
「がん患者さんのための
お助けごはん」
激しい下痢の症状があるときは、経口補水液、市販のゼリー飲料、具のないみそ汁やスープなどをゆっくり少量ずつ摂ります。症状が落ちつき、食欲が出てきたら、胃腸への負担が少ないおかゆや雑炊、柔らかく煮た料理を試しましょう。家で調理する際のポイントは、脂質の少ない食材を選ぶことと、柔らかく煮ること。野菜やフルーツは小さめに刻むことで、繊維が短くなり、胃腸への負担が少なくなります。
①スープ・汁ものレシピ
体と心をほっこり癒してくれる簡単レンチンスープ!
②間食・補食レシピ
ラクチンおいしい!水分・栄養補給
3. 作らず頼る
「がん患者さんのための
お助けごはん」
ここでは、下痢症状がつらいときに活用したいコンビニエンスストアやスーパーのおすすめ食品、外食する際のメニュー選びのコツをご紹介します。
コンビニエンスストア・スーパーで買って役立つお助け食品
下痢のときは長時間の外出が心配なことも。コンビニエンスストアやスーパーですぐ手に入り、脱水予防や栄養補給に役立つ食品です。調子の良いときに買い置きしておくと良いでしょう。
おすすめ食品とPOINT
- ゼリー、ゼリー飲料、経口補水液:買い置きしておくとこまめな水分補給に便利(柑橘系以外で酸味が少ないものが良いでしょう)
- カップスープやみそ汁、スープはるさめなど:食事に簡単に汁物をプラスできます(消化が悪い海藻やあさりの具、辛い味付けは避けて)
- 茶碗蒸し:納豆や豆腐の売り場に置かれています
- カットフルーツ、缶詰:カットフルーツではりんごやスイカ、缶詰では桃やぶどうがおすすめ(酸味が少ない)
温かく消化に良い外食メニュー
下痢の症状が落ち着いてきたら試したい、温かく消化に良い外食メニューを紹介します。
おすすめの外食メニューとPOINT
- かけうどん、月見うどん、かきたまうどん:エネルギーとたんぱく質が一緒に摂れる
- ミネストローネ、ポタージュ、リゾット:脂質が低めで、煮込まれていて柔らかい
- 寄せ鍋、塩ちゃんこ、湯豆腐といった鍋料理:具は豆腐や白身魚を選び、塩やしょうゆなどのさっぱり味がおすすめ
まとめ
下痢があるときは水分多めで柔らかく、刺激が少ない食事がポイントです。胃腸に負担をかけないようによく噛んで食べることも意識しましょう。お腹にやさしい食事と食べ方をぜひ参考にしてみてくださいね。
- 監修
- 国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院
栄養管理室長 管理栄養士 土屋 勇人 - 記事・レシピ協力
- おいしい健康
- イラスト
- USANET
- 掲載月
- 2023年2月
下痢やお腹の調子が良くないときは脱水の予防が大切。こまめな水分補給、下痢で失われやすいカリウムなどのミネラルの補給を心がけましょう。