がんに関する用語集
あ行
- 悪性腫瘍
-
細胞が無秩序に増えながら周囲にしみ込むように広がったり(浸潤)、血管などを介して身体のあちこちに飛び火して新しいかたまりを作ったり(転移)する腫瘍のことをいいます(浸潤や転移をすることがなく、周りの組織を押しのけるようにしてゆっくりと大きくなる腫瘍を良性腫瘍といいます)。悪性腫瘍は放っておくと全身に広がり、身体にさまざまな悪い影響をもたらすため、ほとんどの場合、治療が必要になります。悪性腫瘍は、身体や臓器の表面などを構成する細胞からできる「がん」と、骨や筋肉などを構成する細胞からできる「肉腫」に分類されます。
- 遺伝子検査
-
遺伝子情報を知るためにおこなう検査のことをいいます。一部のがんでは、がん組織中の遺伝子を調べる検査、親から受け継いでいる遺伝子を調べる検査がおこなわれます。患者さん一人ひとりに適した個別化医療のためには、遺伝子検査の情報が必要となることがあります。
- EBM(Evidence-Based Medicine)
-
科学的根拠(研究結果から導かれた根拠)に基づき、患者さんの状態や希望、医療者の専門性を考え合わせて、治療方針を決定していく医療のことをいいます。
- イレウス/腸閉塞
-
腸の炎症により本来はくっついていないところが部分的にくっついてしまったり、がんによって腸がつまるなどして、腸の動きが低下し腸管のとおりが悪くなる状態のことをいいます。便やガスが出なくなり、お腹の痛みや吐き気、嘔吐などの症状が出ます。中でも腸の動きが悪くなることによって起こる腸閉塞をイレウスといいます。
- インフォームドコンセント
-
医療行為を受ける前に、医師および看護師から医療行為について、わかりやすく十分な説明を受け、それに対して患者さんは疑問があれば解消し、内容について十分納得した上で、その医療行為に同意することをいいます。
- 遠隔転移
-
がん細胞が最初に発生した場所(原発巣:げんぱつそう)から、血管やリンパ管に入り込み、血液やリンパ液の流れに乗って別の臓器や器官に移動し、遠隔部位で増えることをいいます。
か行
- 化学療法/抗がん剤治療
-
細胞の分裂機構に作用して細胞の増殖を抑える薬(抗がん剤)を使った治療法のことをいいます。抗がん剤は、作用の仕方によってさまざまな種類があり、単独、または複数の薬を組み合わせて用います。
- 寛解
-
一時的あるいは永続的に、がんが縮小または消失している状態のことをいいます。
- 緩和ケア
-
がんに伴う身体や心のつらさをやわらげ、患者さんやその家族がその人らしくすごせるよう支えるアプロ-チのことをいいます。がんと診断された時点から療養の過程を通じて受けることができます。
- QOL
-
治療や療養生活を送る患者さんの肉体的、精神的、社会的、経済的、すべてを含めた生活の質のことをいいます。
- 胸水
-
胸腔(胸壁と横隔膜に囲まれた胸部の空間)内に認める液体のことをいいます。
- 局所再発
-
最初のがんと同じ場所、あるいはごく近くにがんが再発することをいいます。
- 局所療法
-
がんのできている部位とその周辺に対しておこなわれる治療のことをいいます。具体的には手術(外科治療)、放射線治療などがあります。
- 原発巣
-
最初にがんが発生した病変のことをいいます。
- 骨シンチグラフィ
-
骨にがんがあるとその部分に放射性物質が集まることを利用し、骨への転移の有無を調べる検査のことをいいます。
- 骨髄抑制
-
がん治療の副作用やがんそのものによって骨髄の働きが低下し、血液細胞を作る機能が低下している状態のことをいいます。
さ行
- 再発
-
手術や薬物療法、放射線治療などの治療により、検査でがんがなくなったことを確認した後、再びがんが現れることをいいます。
- 細胞診検査
-
患者さんから得られた細胞を顕微鏡を使って観察し、良性/悪性の判定をおこなう検査のことをいいます。
- 支持療法
-
がんそのものに伴う症状や、治療による副作用・合併症・後遺症の症状を軽くするための予防、治療、およびケアのことをいいます。
- CT検査
-
さまざまな方向からX線をあて、身体の断面を画像化する検査のことをいいます。X線(レントゲン)検査より詳しくがんの有無や広がり、他の臓器への転移を調べることができます。
- 生存率
-
診断から一定期間後に生存している確率のことをいいます。5年生存率とは、がんと診断された患者さんのうち、診断から5年後に生存が確認できた割合を意味します。
- 術前補助療法/術前薬物療法
-
薬で腫瘍を小さくして手術しやすくする、薬の治療効果をあらかじめ確認するなどの目的で、手術前に薬物療法をおこなうことをいいます。
- 術後補助療法/術後薬物療法
-
がんが再発する可能性を低くすることを目的に、手術後に薬物療法をおこなうことをいいます。
- 術中迅速病理診断
-
手術中に細胞や組織の一部を採取し、腫瘍が良性か悪性か、リンパ節に転移していないかなどについて診断することをいいます。その結果によって治療の範囲や手術方法を変えることがあります。
- 腫瘍マーカー
-
がんの種類によって特徴的に作られるタンパク質などの物質のことをいいます。腫瘍マーカー検査は、がんの診断の補助に加えて、治療の効果、再発や転移がないかを調べるためにおこなわれます。
- 浸潤
-
がんが周囲に染み出るように広がっていくことをいいます。
- 診療ガイドライン
-
科学的根拠などに基づいて、最良と考えられる検査や治療法などを提示する文書のことをいいます。
診療ガイドラインは、検査法や治療法の科学的根拠、医療保険制度の変化をふまえた継続的な改訂が求められており、実際にその多くが3~5年ごとに定期的に改訂されています。 - ステージ/病期
-
がんの大きさや周囲への広がり方で、がんの進行の程度を判定するための基準のことをいいます。
- 生検
-
病変の一部をとって、顕微鏡で詳しく調べる検査のことをいいます。手術や内視鏡検査時に採取したり、体外から細い針を刺して採取したりする方法があります。
- 先進医療
-
効果や安全性を科学的に確かめる段階の高度な医療技術のうち、厚生労働省が保険適応を検討している治療法のことをいいます。
- セカンドオピニオン
-
主治医以外の医師による「第2の見解」のことをいいます。患者さんが治療を選択する上で、悩んだり判断に困ったりしたときなど、さらに多くの情報を必要とする場合に求めることがすすめられています。
た行
- TNM分類
-
がんの進行度を評価する指標の一つをいいます。「TNM分類」の「T」は原発のがんの広がり(深達度など)を、「N」はがん細胞のリンパ節への転移の有無と広がり、「M」は原発から離れた臓器への遠隔転移の有無を意味します。
- 転移
-
がん細胞が最初に発生した場所(原発巣:げんぱつそう)から、血管やリンパ管に入り込み、血液やリンパ液の流れに乗って別の臓器や器官に移動し、そこで増えることをいいます。
は行
- PS/パフォーマンスステータス
-
全身状態の指標の一つで、患者さんの日常生活の制限の程度を0~4の5段階評価で示したものをいいます。
- 標準治療
-
科学的根拠(エビデンス:あるテーマに関する試験や調査などの研究結果から導かれた、科学的な裏付け)に基づいた観点で、現在利用できる「最良の治療」であることが示され、多くの患者さんにおこなわれることが推奨される治療のことをいいます。
- 病理診断/病理検査
-
身体の一部分から採取した細胞や、病変の一部を薄く切り出した組織を顕微鏡で観察することにより、がんかどうか、どのような種類のがんかなど、細胞や組織の性質を詳しく調べる検査のことをいいます。
- 腹水
-
腹腔(腹壁で囲まれた腹部の空間)内に認める液体のことをいいます。
- PET検査
-
がん細胞の性質を利用し、活発に活動しているがん細胞の状態を調べる検査のことをいいます。
- ホスピス
-
がんによる苦痛緩和のための治療とケアをおこなう施設のことをいいます。「緩和ケア病棟」も同じような意味で用いられますが、「ホスピス」のほうがより終末期ケアを意識したことばとして使われることがあります。
- ホルモン療法
-
特定のホルモンによって増える特徴があるがんに対し、ホルモンの分泌を抑制することでがん細胞が増えないようにする治療法のことをいいます。
や行
- 予後
-
病気や治療などの医学的な経過についての見通しのことをいいます。
ら行
- 臨床試験
-
新しい治療法について、その効果や安全性を確認するために臨床試験 おこなわれる、人を対象とした試験のことをいいます。
- リンパ節
-
身体全体にある免疫器官のことをいいます。全身の組織から集まったリンパ液が流れるリンパ管の途中にあり、細菌、ウイルス、がん細胞などがないかをチェックし、免疫機能を発動する「関所」のような役割を持ちます。
- リンパ節郭清
-
手術の際に、がんを取り除くだけでなく、がんの周辺にあるリンパ節を切除することをいいます。がん細胞はリンパ節をとおって全身に広がっていく性質があるため、がんが転移している可能性がある部分を取り除いて、再発を防ぐことを目的としておこないます。
- リンパ浮腫
-
何らかの理由でリンパ液の運搬能力が低下してリンパ管に回収されず、組織にリンパ液がたまってむくんだ状態のことをいいます。
- レジメン
-
薬物療法をおこなう上で、薬剤の用量や用法、治療期間を明記した治療計画のことをいいます。
- 参照元
-
国立がん研究センター がん情報サービス がんに関する用語集
(https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/index.html、2024年8月閲覧)国立がん研究センター がん情報サービス 薬物療法 もっと詳しく
(https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/drug_therapy/dt02.html) - 公開月
- 2024年10月