がん治療の副作用対策とセルフケア:
手足のしびれ
手足のしびれは周りからはわかりづらく、症状を伝えにくい副作用の一つです。ものを持ちにくくなったり、つまずきやすくなったり、症状が出始めた段階で医師に相談しましょう。ここでは、手足のしびれ対策とセルフケアについてご紹介します。
手足のしびれの症状
温度を感じにくい、ボタンをかけにくい、転びやすい、箸を持ちにくいなどの症状が現れることがあります。症状がどこに出ているのか、その症状はどのくらいの早さでどう変化しているのか、生活にどのような影響が出ているのか、を伝えましょう。
がん治療中に手足のしびれが起こるしくみ
抗がん剤が神経細胞に影響し、神経の信号がうまく伝わらなくなることによって起こります。症状の強さや回復の程度は個人差が大きく、治療が終われば回復する方もいれば、長期間症状が続く方もいます。
- 治療を重ねるごとに起こりやすさや症状の程度が増していくといわれています。
手足のしびれの予防と対策
予防
- タキサン系の抗がん剤で起こるしびれは、投与時に圧迫したり冷やしたりすると予防効果がある場合があります。
対策
- 症状の程度により抗がん剤の減量、休薬、中止を検討します。
- 症状をやわらげるためにビタミン剤や漢方薬、痛み止めの投与、鍼治療など、さまざまな対策が試されています。
- 手足のしびれに対する一般的な対策として、入浴で温める、手指の運動、マッサージなどがおこなわれていますが、効果は人によって異なりますので、やってみて不快でなければ続けてみましょう。
日常生活で気をつけること
- 感覚がにぶくなっているため、料理中の包丁でのけがや、やけどに注意してください。
- 転倒を防ぐために、歩きづらいときは手すりや杖などを利用し、無理せずゆっくり歩くようにしましょう。
症状を観察することが大切
手足のしびれは周りからはわかりづらく、症状を伝えにくい副作用の一つです。どんなしびれがどの程度起こっていて、どう変化しているのかご自身で観察し、生活に支障をきたす前にできるだけ早く主治医に相談しましょう。
こんなときは相談を:
- 手足にしびれの症状が出始めた。
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しびれの症状により下記のような生活への影響が出てきた。
- ボタンが留めづらくなった
- ペットボトルのふたが開けづらくなった
- つまずきやすくなった
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リモコンの操作がしづらくなった
など
- 監修
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- 国立がん研究センター中央病院 腫瘍内科 科長 米盛 勧
- 国立がん研究センター中央病院 薬剤部 主任 宇田川 涼子
- 国立がん研究センター中央病院 副看護師長 がん薬物療法看護認定看護師 三浦 仁美
- 国立がん研究センター中央病院 栄養管理室長 土屋 勇人
- イラスト
- USANET
- 更新月
- 2023年3月