がん治療の副作用対策とセルフケア:
脱毛
がん治療による外見の変化が心配な患者さんにとって、脱毛は最も気になる副作用かもしれません。ここでは、脱毛の対策とセルフケアについてご紹介します。
脱毛の症状
毛が抜けやすくなり、頭皮がピリピリすることもあります。
がん治療中に脱毛が起こるしくみ
抗がん剤治療や放射線治療の影響により、毛の根元にある毛母(もうぼ)細胞がダメージを受けることで、毛が抜けやすくなります。また、体質によっては治療をおこなう前と後で髪質や髪の毛の色が変わることもあります。治療内容によりますが、多くの場合、治療終了の数ヵ月後に発毛が再開し、数年後にもとに戻ります。
- 脱毛のリスクは抗がん剤の種類や量、放射線照射の部位や線量により異なります。
- 抗がん剤投与2~3週間後から脱毛が起こることが多く、治療中は症状が進行します。
脱毛の予防と対策
脱毛を予防することはできませんが、脱毛に備えた準備をしておくと安心です。
治療前の準備
- 髪型をショートにすると抜けた毛の処理が楽になったり、脱毛が目立ちづらくなったりします。その他、髪の毛を明るい色に染めておいても脱毛したときに目立ちづらくなります。
- キャップや帽子、バンダナ、ウィッグなどを前もって準備しておくと安心です。
日常生活で気をつけること
- 帽子やウィッグの使用で頭皮が蒸れやすくなるため、しっかり頭皮を洗いましょう。もともと皮膚が弱い方は、低刺激のシャンプー・リンスを使うのがよいでしょう。
- 外出時は帽子やウィッグを着用して刺激から頭皮を守るようにしましょう。まつげや鼻毛も抜けることがあるので場合によってはサングラスやマスクを使用する、などの工夫をしましょう。
- 家でも帽子やバンダナ、ナイトキャップを用いると、床や寝具に髪の毛が落ちるのを防げます。また、毛が抜ける時期は濃い色の服を着ると抜けた毛が目立ちにくいです。
頭皮がかゆい、それも副作用かも
ウィッグや帽子をずっと使っていることで、頭皮が蒸れて湿疹ができたり、かゆみが出たりすることがよくあります。副作用の一つですので、主治医や看護師、薬剤師に相談しましょう。ステロイド剤などの炎症止めの塗り薬が処方される場合があります。
こんなときは相談を:
- 頭皮に湿疹ができた。
- 育毛のための薬やサプリメントを使いたい(治療に影響することもあるので、医師に相談せずに服用するのはやめましょう)。
- 脱毛が心配で心の負担になっている。
- 監修
-
- 国立がん研究センター中央病院 腫瘍内科 科長 米盛 勧
- 国立がん研究センター中央病院 薬剤部 主任 宇田川 涼子
- 国立がん研究センター中央病院 副看護師長 がん薬物療法看護認定看護師 三浦 仁美
- 国立がん研究センター中央病院 栄養管理室長 土屋 勇人
- イラスト
- USANET
- 更新月
- 2023年3月