がん治療の副作用対策とセルフケア:
倦怠感(だるさ)
がん治療中のだるさは、周囲に伝わり難い副作用かもしれません。「こんな小さなこと」と思わずに、体のつらさを早期に医療スタッフに伝えることが、がん治療を予定通り進めることにつながります。ここでは、だるさについてご紹介します。
倦怠感(だるさ)の症状
だるい、身体が重い、すぐ疲れる、身の置きどころがないような不快感、といった症状が起こる場合があります。日常生活にどのような支障が出ているか、症状がなかったときと比べて話すと、症状の強さを上手に伝えることができます。
伝え方の例:
- 今まで階段を普通に上がれていたのに、休みながらでないと上がれなくなった。
- 10分でおこなえていたことが20分かかるようになった。
- 横になっている時間が前より長くなった。
がん治療中に倦怠感(だるさ)が起こるしくみ
だるさが起こるしくみはよくわかっていませんが、がんそのものによる影響のほかに、炎症や抗がん剤による吐き気や睡眠障害、下痢などの影響、不安やうつなどの精神的な要因が重なって起こると考えられています。また、抗がん剤の副作用による肝機能障害、腎機能障害、骨髄に影響を与えた結果起こる貧血など、様々な原因で「だるさ」の症状が出ている可能性もあります。
「たかがだるさ」と思わずに相談してください。
- 抗がん剤による副作用で貧血症状が強い場合は、だるさを感じやすいといわれています。抗がん剤投与後3~14日目頃まで症状が続く場合があります。以降、徐々に症状が軽減することが多いですが、投与回数を重ねるとだるさを感じやすくなり、治療が終了しても症状が続く場合もあります。
- 分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬では、抗がん剤でみられるだるさの原因に加え、甲状腺や副腎に影響を与えた結果、甲状腺ホルモンや副腎皮質ホルモンの分泌量が低下したことによって「だるさ」の症状が出ている可能性もあります。
- 発現時期は定まっていません。
倦怠感(だるさ)の予防と対策
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一般的なものとしては、以下があります。
- 十分な睡眠をとる
- こまめに休息をとる
- 適度な運動で筋力や体力の低下を防ぐなどして体力を温存する
- 入浴やマッサージなどで血流を促して症状をやわらげる
- リラックスする
- 好きなことをする時間を作るなどして気分転換をする など
- 症状によっては抗がん剤の減量や休薬の延長、治療法の変更が必要なケースもあります。
特に免疫チェックポイント阻害薬で治療中の方は注意が必要です
免疫チェックポイント阻害薬を投与中の方でだるさを感じた場合には、放置せずにすぐに通院先の医療機関へ連絡してください。
こんなときは相談を:
- 普段おこなっていることが、いつもよりつらい、時間がかかる。
- だるい、身体が重い、疲れやすいと感じている。
- 監修
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- 国立がん研究センター中央病院 腫瘍内科 科長 米盛 勧
- 国立がん研究センター中央病院 薬剤部 主任 宇田川 涼子
- 国立がん研究センター中央病院 副看護師長 がん薬物療法看護認定看護師 三浦 仁美
- 国立がん研究センター中央病院 栄養管理室長 土屋 勇人
- イラスト
- USANET
- 更新月
- 2023年3月