がん治療の副作用対策とセルフケア:
口内炎

口内炎は、ほお、舌、歯ぐき、のどの奥など、口の中の粘膜に生じる炎症の総称です。症状が悪化すると食事や会話がしにくくなるため、早めの対処・受診が大切です。ここでは、口内炎の対策とセルフケアについてご紹介します。

口内炎の症状

口の中にできものができたり、赤く腫れたり、ただれたりすることで、しみる、痛みなどの症状が生じることがあります。口内炎というと局所的なできものを想像しがちですが、口の中全体が荒れることもあります。口の中のどこに、どのような症状が出ているのか、またその症状の程度を伝えましょう。口内炎により日常生活にどのような支障が出ているかを話すと上手に伝えることができます。たかが口内炎と思いきや、症状がひどくなると食べる意欲が低下する原因にもなってしまうので早めの対処が大切です。

伝え方の例:水もしみるくらい痛くて、水が飲めない。

がん治療中に
口内炎が起こるしくみ

口内炎は、抗がん剤治療や放射線治療によって口の中の粘膜が直接ダメージを受けたり、口の中の乾燥や免疫能が低下したりすることによって起こります。

  • 抗がん剤投与後2~10日目頃から起こりやすいといわれています(症状は2週目頃に強くなりやすい)。
  • 放射線治療の場合は、照射部位に頭頸部(鼻や口腔、のどなど)や食道が含まれる場合、それらの放射線治療と抗がん剤治療を組み合わせた化学放射線療法をおこなう場合に起こりやすいといわれています。
  • 放射線照射後(頭頸部、胸部照射)は2~3週目頃から起こりやすいといわれています(照射線量や回数によっても異なります)。
  • 分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の投与後にも起こる場合がありますが、発現時期には個人差があります。

口内炎の予防と対策

口内炎の予防には口の中を清潔にしておくことが大切です。口内炎ができたときには、炎症止めの薬や保湿剤を入れたうがい薬(痛みが強い場合は痛み止めの薬が加わることもあります)、ステロイドの外用薬を処方されることがあります。症状がひどくなる前に相談しましょう。

口内炎の予防と対策
  • 治療を開始する前にご自身の口の中をよく観察しておきましょう(治療後の口の中の変化に気づきやすくする)。また、虫歯など治療が必要な歯はないか、かかりつけの歯科などで確認してもらい、その後も定期的に口腔内のチェックやクリーニングをおこなうのがおすすめです。
  • 歯みがきは食事をしたかどうかにかかわらず、1日3回おこないましょう。
  • 口内炎の痛みがひどくて、どうしても歯みがきができない場合は、水でよいのでこまめなうがい(起床時、食前、食後、寝る前など)を心がけましょう。
  • 治療期間中は意識して口腔内ケアをおこないましょう。

口内炎があるときの食事の工夫

口内炎があるときは食べ物の刺激で痛みが出やすいので、薄味でやわらかく、なめらかな料理が食べやすいです。少量ずつ、できればよく噛んで食べることと、口の中の乾燥予防のためにしっかり水分補給を心がけましょう。

口内炎があるときの食事の工夫

おすすめ食品・メニュー

  • 卵どんぶり(親子丼)、あんかけ、くず煮、ゼリー寄せ

→ 口の中でばらつかないメニューがおすすめです(口の中でばらつくと口内炎への刺激になります)。熱いものや固いもの、濃い味付けのもの、香辛料などの刺激が強いものは避けましょう。

調理のワンポイントアドバイス

皮をむく、薄く切る、繊維に逆らって切るなど、切り方の工夫でやわらかく食べやすくなります。
柿やりんごなどの固い果物は、すりおろして食べるのがおすすめです。また、とろみを付ける、ソースを添えることで口当たりがよくなるので試してみてください。

いつもと口の中が違うと思ったらすぐに相談しましょう

口の中に潰瘍ができること以外にも、舌がただれたようになっている、ほほの裏側など口の中がざらざらする、歯肉の炎症なども口内炎の症状です。自己判断せず、早めに主治医に相談することが大切です。薬を処方してもらうことで、ひどくなる前に対処することができます。

こんなときは相談を:

  • 痛みが強く、食事をとることが難しい。
  • 口内炎に処方された薬の使い方がわからない。
  • 持っている薬が口内炎に使えるかどうかわからない。