imAE(免疫介在性有害事象)とは?
がん治療における免疫チェックポイント阻害薬特有の
副作用について

imAE(免疫介在性有害事象)は、免疫チェックポイント阻害薬の使用によって引き起こされる副作用のことです。
この記事では、imAEの症状や対応方法について解説します。

1. imAE(免疫介在性有害事象)とは

免疫チェックポイント阻害薬が原因で起こりうる副作用には、「免疫介在性有害事象」とよばれるものがあります。従来のがん治療に伴う有害事象とは異なり、正常な細胞に対する過剰な免疫反応によって起こります。自覚症状があるものからないものまで、その症状は多彩で、全身のあらゆる臓器に現れる可能性があります。

免疫チェックポイント阻害薬とは

私たちは本来細菌やウイルスなどの異物が身体の中に入ってくるのを防いだり、排除したりすることで身体を守る力を持っており、それを「免疫」といいます。免疫は発生したがん細胞を攻撃し排除するはたらきを持ち、それを担っているのが「T細胞」です。
しかし、T細胞のはたらきが弱まったり、がん細胞からT細胞がはたらかないようにブレーキをかけていたりすると、免疫でがん細胞を排除しきれないことがあります。「免疫チェックポイント阻害薬」は、T細胞やがん細胞に作用して免疫にブレーキがかかるのを防ぎ、がん細胞を攻撃する力を保つ薬です。

免疫チェックポイント阻害薬とは

出典: 国立がん研究センター がん情報サービスganjoho

2. imAEの症状とは

免疫チェックポイント阻害薬の投与により引き起こされるimAEは、全身のあらゆる臓器に現れる可能性があります。特異的な症状がないため、見逃さないように注意が必要です。また、imAEの発現時期は薬剤によってさまざまで、個人差も大きく、その予測は困難です。治療直後に起こる場合の他に、治療が終了して数週間から数ヵ月後に起こることがあることにも注意が必要です。
起こるかもしれない副作用の症状を事前に知り、ご自身の体調の変化に気を配りましょう。そして、治療中や治療後にいつもと違う症状を感じたら、医師や薬剤師、看護師に早めに相談しましょう。その際には、事前に以下のチェック表を参考にしながら、感じた体調の変化や症状についてまとめてみましょう。

各部位の項目をクリックすると、その他の自覚症状をご確認いただけます。

imAEの症状とは

3. imAEの重篤化を防ぐために
~いつもと違う症状、症状の急激な悪化に気付いたら、
すぐに医師または薬剤師、看護師に相談しましょう~

imAEは従来のがん治療と違い、医療従事者への相談なしにセルフケアをおこなうことは避けるべきとされています。数日の遅れが命に関わる状況を引き起こす可能性もありますので、特に新しい症状が現れた場合や、日ごとに症状が悪化していくなど症状の進行が早い場合は、すぐに医師または薬剤師、看護師に相談しましょう。
以下は、医療従事者に症状を伝えるときの主なポイントです。まずは、これらを意識してご自身の体調の変化に注意してみましょう。

伝えるときの主なポイント

  • 前回の投与から、体調に変化(症状)はあるか
  • その症状は、どの程度つらいか
  • その症状は、いつからあるのか
  • その他の気になること

できる限り治療を中断したくないという思いから、多少体調が優れていなくても次の外来まで我慢しようとし、医療従事者に伝えるのが遅れることはよくあります。しかしimAEは、できる限り早期に発見し、速やかに適切な対処をおこなうことがさらなる重症化を防ぎ、その後の最適ながん治療の継続につながります。