がん治療におけるコミュニケーションギャップとは

自分の症状を正しく伝え、医師の説明を理解するために、活用してください。

がん治療におけるコミュニケーションギャップとは

コミュニケーションギャップとは

がん患者さんを診る医師は、がん治療の専門家です。もちろん、患者さんのためにわかりやすいことばで話してくれますが、どうしても医師と患者さんの間には認識のズレが生まれてしまうことがあります。

ニュアンスや意味合いのすれ違い

患者さんが知っていると思って医師が使ったことばでも、実際にはよく知らないことばもあれば、違う意味としてとらえてしまっていることばもあるかもしれません。ときと場合によっては、同じことばでも医師と患者さんの間でニュアンスや意味合いが変わることもあるでしょう。

言葉が足りない時のすれ違い

また、お互いに配慮し合ったためにことばが足りず、気持ちのすれちがいが起こることもありえます。こうした行きちがいにより、患者さんと医師との間の信頼関係に影響がでることも考えられるのです。
このようなコミュニケーションギャップが生じやすい一例をご紹介します。

がん治療におけるコミュニケーションギャップが生じやすい一例

標準治療

あなたは標準治療ということばに、どのようなイメージをお持ちでしょうか?「標準=普通」と思ってしまう方が多いのではないでしょうか。その場合、医師から「これが標準治療です」と言われたら、「わたしは最高の治療をしてもらいたいのに・・・」と不安や不満を感じてしまうかもしれません。

ですが、医師が使う標準治療ということばは、臨床試験で有効性と安全性が検討され、科学的根拠に基づいた最良と考えられる治療という意味で用いられているのです。

ここでは、がん治療を受ける患者さんと医師の間でコミュニケーションギャップや誤解が生じやすいことばを例に取りあげ、医師はそのことばをどのような意味で使っているのか、その背景について解説します。また、実際にコミュニケーションギャップが起こったときの対処法や、予防策についてもご紹介します。
医師は患者さんの味方です。わからないことがあれば遠慮せずに聞いてみましょう。その治療に対する医師の想いや考えを正しく理解できれば、治療について前向きに話し合うことができるでしょう。

  • セカンドオピニオン

    患者さんが納得のいく治療法を選ぶことができるよう、主治医とは異なる医師から、現在の治療内容や次の段階の治療選択などについてアドバイスを求めることです。

  • 標準治療

    医師の言う標準治療は、「普通」「平均的」「一般的」な治療という意味ではありません。

  • 余命はどのくらいか

    がん患者さんの場合、がんの状態や身体の状態、これまでのデータを参考にして、患者さんがこの先どれくらい生きられるかを予測した期間のことを指します。

  • 治る/効く

    一般的に、病気を治療した結果、病気の症状がなくなってもとの状態に戻ることをあらわすときに、「治る」「効く」ということばがよく使われます。

  • 緩和ケア

    緩和ケアというと、あらゆる治療の手を尽くした患者さんが、残された日々を安らかにすごすための治療を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、それはもう過去の話です。

  • 原発と転移

    がんの治療で使う場合の原発性や原発巣とは、はじめにがんが発生した場所のことを言います。転移とはそのがんが血管やリンパ管などを通じて別の場所へ移動し、増えることを指します。

  • 先進医療

    進歩し続けているがん治療の話題のなかでも、先進医療と聞くと、最先端で効果に優れているというイメージがあるのではないでしょうか。

  • 薬物療法

    がんの医療で使われるお薬には、がんに対して作用するものや、痛みを抑えるもの、お薬の副作用を和らげるために使うものなど、さまざまな種類のお薬が含まれています。

  • 治療期間

    医師から説明する治療期間の定義は、一つの治療をおこなう期間を指すこともあれば、いくつかの治療を組み合わせる場合には全期間を指すこともあります。