がん患者さんの「食のお悩み」
座談会レポート（前編）
がん患者さんに聞きました！
食の悩みと私の対処法
普段どんなことに
困ってる？
「食事が少ししか食べられない」「口の中が痛くて食べづらい」「食べていても味がしない」…。がんの治療中に多くの患者さんが抱える食事の悩み。その悩みに向き合いながら、自分なりの対処方法を見つけた、４人の患者さんにお話を伺いました。
本記事の内容は座談会にご参加いただいた患者さん個々のご経験・見解に基づき作成しています。がん治療中の食事のお悩み、対処方法はお一人おひとり異なりますので、ご了承ください。
がん治療中に、
お食事に関する
どのような
困りごとがありましたか？
食欲があっても、
口内炎などで
食べづらさを感じることも
口の中がしみたり、舌がやけどしたみたいにビリビリとしびれたりしたことがつらかったですね。最近は舌の奥に潰瘍ができて、痛くて食べにくいです。
歯磨きの時も、歯ブラシが当たると痛いので、歯だけ磨けるように小さめの歯ブラシを使っています。
私の場合塩分が多い食べ物は舌がしびれるので、りんごなど刺激がないものや味が薄いものを選んで食べています。あと、野菜をやわらかく煮てあまり噛まなくていいようにしたり、しみにくいように常温で食べたりしているかな。
せっかく食欲があるのですから、口内炎ができて食べにくくなってしまうのは避けたいですよね。私は看護師さんから口内炎予防には冷やすのがいいと聞き、抗がん剤の点滴中に氷をなめていました。
2回目の治療は違う病院で行ったので、氷の用意がなくて自分で持参しました。
私も口内炎になりかけましたが、前から使っていた口内炎の塗り薬を病院ですぐに処方してもらったので、ひどくならずにすみました。
治療によって味覚が変わる中、
何が食べられるか探す
毎日でした
副作用で一番大変だったのが、味覚障害が出たことです。料理を作っても味がわからずうまく調整ができないので、家族からクレームがくることも（笑）。そんな時は味の調整が不要な、鍋料理と白ごはんの献立でしのいでいました。
別の薬で、唾液が石油のような味とにおいに感じられたこともありました。口の中もぬるっとして変な味がしたので、私の場合は月餅など甘みの強いものや、麻婆豆腐やサンラータンなど辛いものを食べて紛らわせていました。
大好きなチョコレートの味もわからないほどの味覚障害が起こりました。その時は、食欲はあって食べることもできたので痩せなかったんですけど、気持ち悪くて水分が摂りにくくなり、便秘がちになったのがつらかったですね。友人から炭酸をすすめられていろいろ試した結果、私の場合ジンジャエールなら飲めるとわかり、水分補給の助けにしていました。
私の場合は口の中が熱くなり、ほとんどのものを苦く感じました。お茶でさえ苦くて飲めませんでしたね。反対に甘いものと冷たいものは食べられたので、ヨーグルト、ゼリー、バニラアイスなどを食べたり、飲み物はオレンジジュースを飲んだりしていました。それと、ある特定のインスタント焼きそばなら食べられたので、これは本当によく買って食べました（笑）。
まとめ
患者さんからお話を伺った、今回の「食のお悩み」オンライン座談会。前編では、具体的なお悩みや食事の工夫についてお話しいただきました。普段はおいしく食べられていたものが全く違う味に感じられたり、何気なくできていた料理がうまくできなかったり。がん治療中の食事のお悩み、味覚の変化のしかた、その程度や対処方法は患者さん一人ひとり異なります。
そんな中でも、今回お話を伺う中では「気持ちを切り替えて食べられそうなものを探してみる」「早めに医療従事者に相談する」といった共通点もありました。
後編では、治療中の食事や買い物の工夫、支えになったことを語っていただきます。
座談会に参加いただいた方々
（五十音順）
- 座談会開催日
- 2021年12月9日（オンライン開催）
- 記事協力
- おいしい健康 文：高橋裕子
- 掲載月
- 2022年3月
食欲が落ちて、
痩せていくことに
とても焦りを感じました
がんとわかり、手術した後に入院で抗がん剤治療を受けました。それから食事があまり摂れなくなって、さらに食事のにおいもダメになりましたね。とくに私は炊いたごはんのにおいが苦手だったので、看護師さんにお願いして、主食をパンや麺類に替えてもらいました。でも、食欲が落ちて痩せていくことにすごく焦りも感じて…。
まずは栄養のことは考えず、食べられるものを食べようと気持ちを切り替えたんです。病院の売店でアイスやシュークリーム、ゼリーなど、自分が食べられそうなものを探して食べていましたね。
私は抗がん剤を打った次の日から10日間ほど起きられず、眠り姫のような状態でした。その間あまり食べられずに体重が減り、投与後10日目ごろに食欲が出てきて、痩せた分を取り戻すという繰り返し。
少しでも食べようと、バナナクレープやパウンドケーキなどのおやつを友人に差し入れてもらい、冷凍して少しずつ食べていました。
私は治療中でも家族の食事を作らなければいけなかったのが大変でした。「食欲がないから食べなくてもいいや」と料理をしないというわけにはいかなくて。
とはいえ、治療を繰り返していると、具合が悪くなる時期が自分でわかってくるので、その前に、計画的な買いだめや、鍋料理や豚汁などの具沢山味噌汁の作り置きをしていました。鶏肉の水炊きをした後にごはんを入れて、鶏雑炊もよく作って食べましたよ。