知っておくと安心。
がん治療の副作用対策とセルフケア

抗がん剤などによる副作用について説明を受けると、「自分に起こったらどうしよう」「つらいのかな」と誰もが不安、心配になります。説明された副作用は必ずしもすべての人に起こるわけではありませんし、治療内容や患者さん一人ひとりの身体の状況によって症状の出方が異なります。できるだけ心や身体への負担を小さくして、治療を続けていくためには、起こる可能性のある副作用について理解し、身体や生活の変化に備えておくことが大切です。
がんの治療中によくみられる副作用について、起こりやすい時期や症状の伝え方、対策などを、国立がん研究センター中央病院の先生方にお聞きしました。

今回お話を伺った先生方

今回お話を伺った先生方
  • 国立がん研究センター中央病院 腫瘍内科 科長 米盛 勧 先生
  • 国立がん研究センター中央病院 薬剤部 主任 宇田川 涼子 さん
  • 国立がん研究センター中央病院 副看護師長 がん薬物療法看護認定看護師 三浦 仁美 さん
  • 国立がん研究センター中央病院 栄養管理室長 土屋 勇人 さん

困っていることは積極的に医療スタッフに伝えましょう

困っていることは積極的に医療スタッフに伝えましょう

副作用に対する対処法は10~20年前からずいぶん変わりました。使える薬も含めて格段に進歩し、手段がたくさん増えました。ただ、副作用の多くは患者さん本人にしか症状やその強さがわかりません。そのため、治療や副作用で少しでも気になっていること、困っていることがあれば、積極的に医療スタッフに伝えてください。「リスクを含めて」きちんと治療目的とその内容をよく知ることで、ご自身を守ること、不安の軽減や安全に治療できることにつながります。また、副作用の対処によって症状がよくなったのか、変わらなかったのかといった、身体に生じた変化についても医療スタッフに伝えてください。あなたの治療にはたくさんの人が関わっていて、あなたはチームの中心にいます。上手に周囲とコミュニケーションをとり、副作用に対してはできることを一緒にやりながら、がんそのものの治療を予定通り進められるようにしましょう。

体調の管理をサポートしますので従来の生活をできるだけ保っていきましょう

体調の管理をサポートしますので従来の生活をできるだけ保っていきましょう

治療に臨むには、治療に伴う副作用や身体の変化についてあらかじめ知っておくことが大切です。治療開始前、薬剤師は治療の内容や副作用対策に使用する薬の使い方などを説明します。治療中でも従来の生活を保つために、ご自身で体調を管理できるようにサポートしていきます。困ったことや不安に思っていることがあれば、お一人で悩まずに医療スタッフに相談しましょう。

進歩してきた支持療法や生活の工夫で副作用を乗り越えましょう

進歩してきた支持療法や生活の工夫で副作用を乗り越えましょう

患者さんはみなさん、できるかぎりよくなりたいという気持ちをお持ちなので、治療にかける思いが強いほど、副作用がつらくても治療を続けたい一心で、一人で抱え込んでしまいがちです。しかし、日常生活がつらくなってしまっては、治療を続けること自体も難しくなってしまいます。がん治療の副作用を乗り越えるための対策には、進歩してきたさまざまな支持療法や生活の工夫があります。治療を少しでも楽に、そしてきちんと続けていくための手段について、一緒に考えていきましょう。

治療中の食事も一緒に工夫していきましょう

治療中の食事も一緒に工夫していきましょう

入院中は病院が食事を用意しますが、退院後は患者さんがご自分で考えて準備する必要があります。何を食べればいいのか悩んだり、副作用で食事が思うようにとれなかったりする時期もあるかもしれません。副作用そのものだけではなく、食事に関してもさまざまな工夫ができますので、このコンテンツを「こういう症状のときはこんな工夫ができるんだな」という安心材料にしていただければと思います。副作用が起こる前からいろいろと心配せずに、お悩みが出てきたら、その都度一緒に解決していきましょう。