肝切除 / 焼灼とは?

肝切除とは、手術により腹部を切り開いて肝臓にできたがんを取り除くことです。がんが肝臓にとどまっていて、がんの数が3個以下の場合に肝切除を行います。
ラジオ波焼灼術(RFA)は主に肝細胞がんで用いられる局所療法の一つです。RFAは、超音波で観察しながら皮膚の上から細い電極を腫瘍まで差し込み、ラジオ波で腫瘍を加熱して壊死させる治療法です。低侵襲なため手術が難しい患者さんや、高齢で体力が低下している患者さんでも受けることができます。
国立がん研究センター中央病院 肝胆膵内科長 奥坂 拓志先生

先生からの一言

国立がん研究センター中央病院
肝胆膵内科長 奥坂 拓志 先生
 肝切除や焼灼は根治を目指す治療です。それぞれの治療方法をよくご理解いただき、1日も早く社会復帰ができるよう、治療後の療養のしかたなどについても、説明をお聞きになって、成功するように取り組んでいただきたいと思います。

肝切除 / 焼灼に関する体験談

※本サイトに掲載している体験談は個々の患者さんのご経験をインタビューした

内容に基づき作成しています。病状や経過、治療への向き合い方などはお一人おひとり異なります。
信頼できる病院で、初めての入院と手術を経験
 肝細胞がんの診断を受けた病院には手術ができる設備がなかったため、自宅から近い大学病院に転院し、再度詳細な検査を行ったうえで、腹腔鏡手術をすることになりました。初めて病院に入院し、手術も初めての経験でしたが、信頼できる病院との評判もあり、不安はほとんど感じませんでした。腹腔鏡手術は8時間ほどかかり、その間の同じ姿勢をとっていたからか、術後に肩に痛みが残りました。手術自体の痛みは3日ほどで消失し、退院2週間後には仕事にも復帰できましたが、肩の痛みだけは、半年ほど続きました。
肝切除/焼灼、薬物療法などの治療歴があるG様
肝切除/焼灼、薬物療法などの治療歴があるG様
G様
60代後半
同居家族:
同居家族 :
発症時年齢:
60代
現在の状態:
経過観察中
既往歴  :
A型肝炎、十二指腸潰瘍、C型肝炎
※患者さんの名前は仮名です。
主治医の勧めで腹腔鏡手術を受ける決心をした
 早期のため、手術で切除するのが最良の方法とのことでした。主治医は「私の肌が弱いから」と、開腹手術ではなく自院ではできない腹腔鏡の手術を勧めてくれました。十数年私を診察し続けてくださる中で、私の肌が弱いということを把握されており、このご提案はとても有り難く、妻も感心していました。主治医には、私の病気だけでなく全体を診てもらっている安心感があります。普段通い慣れていない病院で治療を受けることに多少不安はありましたが、腹腔鏡手術ができる病院をすぐに紹介していただき、「何かあればすぐ連携しますから」と言っていただき、安心してお任せできました。先生との信頼関係が何よりの薬でした。
 入院は1週間程度で、多少身体的負担はありましたが、大きく切らねばならない開腹手術よりは負担は少なく済んだと思います。退院1週間後に新幹線で九州に出かける予定があったので、それを楽しみに多少の痛みは乗り切りました。さらに1ヶ月半後には、イギリス旅行にも出かけましたが、これには先生も驚いていました(笑)。
肝切除/焼灼、その他の治療歴があるRenn様
肝切除/焼灼、その他の治療歴があるRenn様
Renn様
70代後半
同居家族:
妻、子供
治療歴
肝切除 / 焼灼
その他治療
同居家族 :
妻、子供
発症時年齢:
70代
現在の状態:
経過観察中
既往歴  :
尿毒症、うつ病、腹部大動脈瘤、心筋梗塞
※患者さんの名前は仮名です。
腫瘍が大きく危険な状態だったため、すぐに手術を決意
 総合病院の医師からは、腫瘍が10cm以上と大きかったため、受診をした時点で「本当に危険な状態である」と告げられ、その日のうちに予定を決め、2週間後に入院して開腹手術を受けました。切除した腫瘍の病理検査の結果、悪性腫瘍だと判明し、がんの告知を受けたのです。
 手術から目が覚めた時、とても痛くて苦しかったことを覚えています。入院は2週間ほどでした。医師からは、腫瘍はすべて切除できたこと、退院後は定期的な検査が必要なこと、同時に再発する可能性があることについて、話がありました。
肝切除/焼灼、薬物療法、その他の治療歴があるパグ様
肝切除/焼灼、薬物療法、その他の治療歴があるパグ様
パグ様
20代後半
同居家族:
恋人
治療歴
同居家族 :
恋人
発症時年齢:
20代
現在の状態:
経過観察中
既往歴  :
なし
※患者さんの名前は仮名です。
TACEやRFA、PEIT等の複数の治療を受けた
 主治医からは、病状は今すぐ身体への影響はなく、複数ある腫瘍に直接抗がん剤を注入し一つ一つ潰していく肝動脈化学塞栓療法(TACE)で、効果をみながら治療していきましょう、と言われました。実際に体調に変化もなく、治療がうまく行けば自分はがん患者ではなくなるのだ、と自分を奮い立たせました。
 TACEについては、先に肝細胞がんになった母の付き添いで、治療の説明も経過も理解していたのでそれほど不安はありませんでした。辛かったことといえば、術後の安静で腰が痛くなったことくらいです。最初の治療では、退院後も1週間ほど仕事を休み療養しましたが、その後は全く支障なく仕事に復帰することができました。
 TACEの効果がなかった部分には、ラジオ波焼灼術(RFA)をすることになりました。仕事に配慮していただき、12月の冬休みに入ったタイミングで治療し年内に退院しました。
 翌年3月末に仕事を退職し、5月に2回目のTACEをしました。このときは退院後の倦怠感が強く、家の中で横になっていることが多かったです。やる気はあるのですが、体が動かなかったんです。そのときも夫が家事をよくやってくれて、助かりました。TACEはその後にもう一度行い、同年に経皮的エタノール注入療法(PEIT)を実施したのが最後の治療です。長時間同じ姿勢を保つ必要がありましたが、治療をしながら先生と話をしたりもできましたので、それほど辛いと感じませんでした。
肝切除/焼灼、TACE、その他の治療歴があるかず様
肝切除/焼灼、TACE、その他の治療歴があるかず様
かず様
40代後半
同居家族:
夫、子ども
治療歴
肝切除 / 焼灼 TACE
その他治療
同居家族 :
夫、子ども
発症時年齢:
40代
現在の状態:
経過観察中
既往歴  :
B型肝炎、慢性肝炎、膵腫瘍
※患者さんの名前は仮名です。
副作用への対処については、ご自身で判断せず、必ず医師や薬剤師・看護師等にご相談ください。
TACEを受けてから手術、そしてHAIC
 診断を受けた病院では治療が難しかったため、別の病院の紹介を受け転院しました。担当の外科医から、「手術の前に肝動脈化学塞栓療法(TACE)しましょう」と言われ、診断後まもなくTACEのため1週間ほど入院しました。TACEでは私の場合は痛みを伴いました。大きながんの断末魔の悲鳴が痛みとして現れたのかもしれません。痛みは長くは続きませんでした。
 TACEを実施し退院後は職場に復帰し、2か月後に12時間かけて切除手術を行いました。私は麻酔で寝ているだけで負担はありませんでしたが、付き添っていた妻は翌日めまいを起こし倒れました。長時間の付き添いと緊張で疲れていたのでしょう。
 手術の10日後、体内にリザーバーを埋め込み、肝動注化学療法(HAIC)を開始しました。1週間に1度、抗がん剤の入ったポンプの交換に通院しながら、腰にポンプをぶら下げて職場にも復帰しましたが、特に仕事に支障はなかったです。
肝切除/焼灼、TACE、薬物療法、その他の治療歴があるねむ様
肝切除/焼灼、TACE、薬物療法、その他の治療歴があるねむ様
ねむ様
60代後半
同居家族:
治療歴
同居家族 :
発症時年齢:
50代
現在の状態:
定期検査(画像・血液)で経過観察中
既往歴  :
B型肝炎
※患者さんの名前は仮名です。
腹腔鏡手術で肝臓の約半分を切除
 定期検査を受けていた医師からご紹介いただいた病院でより詳細に調べてみると、もう1箇所、がん化しそうな部分がみつかりました。そこも切除した方が良いだろう、と、最初に見つかった腫瘍を含めて腹腔鏡で肝臓の約半分を切除する手術を受けました。入院期間は2週間ほどだったと思います。設備も整っており、先生も慣れておられるようでしたので殆ど不安はありませんでした。腹腔鏡手術は、初日の麻酔が醒めるまでは多少混乱しましたが、穴を開けた皮膚の痛みがあった程度です。術後2日目には自分で立ち上がれるほど回復し、3日目にはリハビリのために院内を歩き始めましたが、痛みは全くありませんでした。
肝切除/焼灼、TACE、薬物療法などの治療歴があるからくり様
肝切除/焼灼、TACE、薬物療法などの治療歴があるからくり様
からくり様
60代後半
同居家族:
妻、猫
同居家族 :
妻、猫
発症時年齢:
60代
現在の状態:
抗がん剤治療継続中
既往歴  :
2型糖尿病、慢性肝炎、B型肝炎
※患者さんの名前は仮名です。
手術でがんを切除できたので気持ちはスッキリした
 診断はショックでしたが、本やインターネットでも調べ、また医師からも手術が最適だとのことだったので、なんとか根治したいとの気持ちで診断から3ヶ月後に3週間入院して開腹手術をしました。手術に対しては怖いという気持ちはなく、切除して治すことができる、という喜びすらありました。ただ、3週間の入院で筋力が低下してしまい、退院後は出歩くことも減ってしまいました。
 手術後、とりあえずがんを切除できたので気持ちはスッキリしましたが、医師から再発の可能性は高く、再発した場合はその都度局所治療を行うと聞き、不安も残りました。手術後は1ヶ月に1度通院しながら、CT、MRI、エコーやPET等で、経過観察を続けました。
肝切除/焼灼、TACE、薬物療法、その他の治療歴があるKF様
肝切除/焼灼、TACE、薬物療法、その他の治療歴があるKF様
KF様
70代
同居家族:
治療歴
同居家族 :
発症時年齢:
60代
現在の状態:
抗がん剤で治療中
既往歴  :
腎臓がん、前立腺肥大
※患者さんの名前は仮名です。
繰り返して受けたTACEやRFAがいつまで続くのか不安に
 手術から3年間は再発なく、治ったという気持ちで楽しく過ごすことができましたが、残念ながらちょうど3年後に再発が見つかり、最初の肝動脈化学塞栓療法(TACE)を行いました。TACE自体はそれほど苦になりませんでしたが、術後の数時間の安静は辛かったですね。同年12月にまた再発がわかりました。肝細胞がんは再発を繰り返すと聞いてはいましたが、こんなに短期間で再発するのか、と正直落胆しました。長く付き合っていかないといけない病気なのだ、と気持ちが切り替わったのはこの頃だったと思います。このときはラジオ波焼灼療法(RFA)で治療しました。
 翌年5月に3回目の再発で再度TACEを行いました。ほどなくして2ヶ月後、7月にも再発で再度RFAを実施、このようなことがいつまで続くのだろうと漠然とした不安がありました。
肝切除/焼灼、TACE、薬物療法、その他の治療歴があるKF様
肝切除/焼灼、TACE、薬物療法、その他の治療歴があるKF様
KF様
70代
同居家族:
治療歴
同居家族 :
発症時年齢:
60代
現在の状態:
抗がん剤で治療中
既往歴  :
腎臓がん、前立腺肥大
※患者さんの名前は仮名です。
繰り返す再発・転移の度に手術を受けた
 腎細胞がんのため右腎を腹腔鏡手術で切除したのが、人生で初めての手術でした。翌年の腹膜内悪性腫瘍も腹腔鏡手術を行い、その2年後に肝臓の一部切除のため開腹手術、××××年に腹膜転移で腹腔鏡手術、再発、転移のたび××××年腹腔鏡手術、××××年開腹手術、××××年開腹手術、 ××××年、××××年、××××年に2回、胸腔鏡手術を行なっています。手術の合間に、抗がん剤治療も数種経験しましたし、新たに膀胱がんもわかり治療しています。あらためて振り返るとものすごい経過で、「発育型」肝細胞がんという病名も言葉の通りで納得です。ただ、幸いどの手術のときも経過は順調で、術後の24時間以内には歩いていましたね。
 これだけ手術を繰り返していると、入院中には「1年後に生きているのだろうか」との思いが湧き上がり、1年後に生きていたらやりたいこと、目標について考えていました。
肝切除/焼灼、薬物療法などの治療歴があるMrs.K様
肝切除/焼灼、薬物療法などの治療歴があるMrs.K様
Mrs.K様
70代
同居家族:
同居家族 :
発症時年齢:
50代
現在の状態:
抗がん剤治療中
既往歴  :
腎細胞がん、膀胱がん
※患者さんの名前は仮名です。