治療
2. 副作用・後遺症の悩み
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手術や放射線治療、薬物療法を受けた際に、どのような副作用(外見の変化を含む)が起こる可能性がありますか?
手術では以下のような合併症が起こる可能性があります。手術に伴う合併症は術後1週間以内に起こることが多いとされています。
- 胸やお腹に水がたまる(胸水、腹水)
- 手術の傷やお腹の中が化膿する
- 大量に肝臓を切除したことによる肝機能障害(肝不全)
- 肝臓の切離面や、胆管と小腸をつないだところから胆汁が漏れる(胆汁ろう)
- 手術中に膵臓が傷つくことで膵液が漏れる(膵液ろう)
- 胃の動きの回復の遅れ
- 胆管の炎症(胆管炎)
- 出血
- 肝臓内の血管(門脈)が詰まったり、血管内部の圧力が高くなったりする(門脈閉塞・門脈圧亢進症)
胆道ドレナージで挿入しているチューブやステントは詰まったり抜けたりすることもあります。特にステントのトラブルは突然発生することが多く、多くの場合で胆管炎を伴って発熱したり、再び黄疸になったりします。腹痛、発熱、再度の黄疸といった症状がみられたときは速やかに病院に連絡してください。
放射線治療による副作用は何も感じない方もいますが、外部照射中に食欲不振や胸やけ、吐き気が生じることがあります。治療が終われば、通常は数日~2週間程度で消失します。
化学療法による副作用には、吐き気やだるさ、食欲不振、口内炎、下痢など自分で分かるものと、白血球・血小板・赤血球・好中球の減少といった骨髄抑制、腎臓や肝臓の機能低下のように検査でしか分からないものがあります。
免疫チェックポイント阻害薬の副作用には、間質性肺炎(労作時の息切れ、空咳、発熱など)、肝機能障害(腹痛、嘔吐、白目や皮膚が黄色くなる、尿の色が濃くなる)、甲状腺機能障害(冷えを感じる、体がだるい、体重の変化、汗をかくなど)、発疹(皮膚の赤みや腫れ)など、化学療法とは異なる副作用が起こる可能性があります。いつもと異なる症状があらわれた際は、我慢せずにすぐに病院に連絡してください。
これらの副作用には個人差がありますが、吐き気や嘔吐などの副作用は薬剤でかなりコントロールできるようになってきていますし、早期に症状に気づき、適切な治療を受けることによって重症化を防げる可能性があります。脱毛も化学療法による副作用の一つです。胆道がんの化学療法では軽度で済む人が多いですが長期間治療を続けると目立つ場合もあります。外見が変化することが気になる場合には、ウィッグやバンダナなどを利用してみましょう。また、「がん相談支援センター(下記のリンク参照)」では外見の変化による悩みに対して、その症状と折り合いをつけながら、自分らしく生活できるような支援をしています。
副作用による不安や心配、辛い症状は主治医や看護師に遠慮なく伝えましょう。<参考文献>
がん研究会有明病院、ほか 編. 胆道がんの治療とケアガイド. 金原出版. 2013年. P34-65, 93.
がん情報サービス. 免疫療法 もっと詳しく.
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/immunotherapy/immu02.html(2023年9月13日閲覧)
CancerNet Japan. もっと知ってほしい胆道がんのこと. 2021年. P16. -
主治医からは何か気になる症状が出たら連絡するように言われましたが、多少の熱や痛みなら我慢してもよいですか?
どのような症状であっても、自己判断せずに医療機関へ連絡してください。手術の後遺症や薬物療法の副作用以外にも、胆道ドレナージをされている場合には目に見えないステントのトラブルが起こる可能性があり、それが原因で腹痛が生じたり、発熱したりします。再び黄疸症状が現れることもあります。いつもと違う症状や体調の変化がある場合には、些細なことであっても決して遠慮せずにすぐに病院へ連絡するようにしましょう。
以下のような症状が出たときは、お薬の副作用や胆管炎の症状である可能性があります。 すぐに病院へ連絡しましょう。
- 息切れがある、新たに咳が出たり、悪化したりしている
- 吐き気や下痢がひどく水分もとれない
- 白目や皮膚が黄色く変化した
- 便の色が白や黒に変化した
- 尿の色が濃く変化した
- 右上腹部やみぞおちが痛い
- 悪寒や38℃以上の熱がある
- 意識が薄れることがある
<参考文献>
がん研究会有明病院、ほか 編. 胆道がんの治療とケアガイド. 金原出版. 2013年. P93.
監 修
神奈川県立がんセンター
総長 古瀬 純司、がん相談支援センター 得 みさえ