日常生活
2. 食事や嗜好品
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夫が胆道がんの治療中ですが、痛みや嘔吐、下痢などの症状が強いときもあり、食欲が落ちています。少しでも、本人が美味しく食べられるようにしてあげたいのですが、食事や栄養バランスについて気を付けることがあれば教えてください。
痛みや黄疸の症状が強いときには点滴での栄養管理が必要なこともありますが、基本的には1日3食をバランスよく、胃腸の消化に負担なく食べることが大切です。食事の目標は、①十分なエネルギーをとること、②必要なアミノ酸(タンパク質)をとること、③ビタミン・ミネラルなどをとることです。好きな食品も取り入れながら食べやすく工夫するとよいでしょう。
痛みや嘔吐、下痢などの症状が強いときには、適切な食事について主治医に相談しましょう。【痛みや黄疸が強いとき】
痛みが強く食欲がないときなどには、点滴で水分や栄養を補うことがあります。食事が可能になれば、流動食からおかゆ程度として、脂質を控えます。
【症状が治まってから回復期】
やわらかい食事から普通食として、脂質はやや控え目にします。タンパク質をとり過ぎないように、タンパク質の主菜は一品を目安にします。塩分のとり過ぎや香辛料・アルコールは控えます。
タンパク質の
主菜はどれか1品【安定しているときの自宅での
バランス食】食事の比重が3食の中の1食に集中しないように気を付けます。夕食が多くなり過ぎないように注意しましょう。脂質を極端に制限したり、動物性タンパク質をとらないなどの極端な食事を長期に続けないようにします。
【薬物療法中の工夫】
薬物療法中の場合は、においが気になったり、お薬の副作用で吐き気や食欲低下などから食べたくないということも少なくありません。においの強いものは避ける、熱いものは冷やしてから、などの工夫が勧められます。
【吐き気・嘔吐、便秘・下痢に
対する工夫】胆道がんの症状や治療の副作用によって吐き気・嘔吐や便秘・下痢などに悩む方は多くいらっしゃいます。そのような症状があるときには、速やかに主治医に相談してください。吐き気止めの処方や腸内環境を整える対症療法が検討されます。
ご家庭においても、食事は気分のよいときを選んで食べるようにしたり、主食をおにぎりやいなり寿司にして手軽に口に運べる形にしたり、のどごしのよい素麺やうどんなどを取り入れるなど工夫をすることができます。
便秘のときは食物繊維を上手にとり、生活リズムを整えて決まった時間の排便習慣を身につけたり、散歩を中心とした無理のない運動をしたりすることで改善することがあります。下痢が続くときには、脱水に注意して冷たくない水分、スポーツドリンクなどを継続的に飲むことを心がけてください。<参考文献>
がん研究会有明病院、ほか 編. 胆道がんの治療とケアガイド. 金原出版. 2013年. P108-113.
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お酒や喫煙を日常的にしていたのですが、すべて止めるべきなのでしょうか?
胆道がんの方の飲酒については、肝臓の病気ではありませんので、節度のある適度な量であれば飲んでいただいても構いません。ただし、糖尿病などを併存していて血糖コントロールの指示がある場合や、肝機能障害が強い場合がありますので、飲酒してもよいかや飲酒の量については主治医にご相談ください。
喫煙は、肺がんや口腔・咽頭がん、食道がんなど胆道がん以外の様々ながんの発がんリスクを高める因子の一つです。基本的には禁煙をお勧めします。<参考文献>
がん研究会有明病院、ほか 編. 胆道がんの治療とケアガイド. 金原出版. 2013年. P84.
がん情報サービス:がんの発生や治療へのたばこの影響
https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/smoking/tobacco02.html(2023年9月13日閲覧)
監 修
神奈川県立がんセンター
総長 古瀬 純司、がん相談支援センター 得 みさえ