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胆道がんとは?

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散歩

  • 胆道がんとはどのような病気ですか?

    肝臓でつくられた消化液「胆汁《たんじゅう》」の通り道のことを胆道《たんどう》と呼び、胆道にできるがんを胆道がんと呼びます。

    胆道がんは、がんができる場所によって、胆管がん、胆のうがん、乳頭部がんの3つに大きく分類されます。さらに胆管がんは、肝内胆管がん、肝門部領域胆管がん、遠位胆管がんに分けられます。

    胆道がんは3つに大きく分類される

    がんができる場所

    胆道がんによって、胆汁の流れがせき止められてしまい胆汁が血液中に逆流すると、胆汁の中にあるビリルビンと呼ばれる黄色の色素が血液中に増えるため、白目や皮膚が黄色くなる黄疸の症状が出ます。また、胆汁の流れが悪くなることで胆汁が十二指腸へ行きつかず、脂肪の吸収が進まなくなったり消化不良になったりして、少しずつ栄養状態が悪くなる可能性があります。そのような状態にならないように、胆汁の流れをよくするための胆道ドレナージという処置を行います。

    黄疸症状(白目や皮膚が黄色くなる)
    黄疸症状(白目や皮膚が黄色くなる)

    黄疸症状
    (白目や皮膚が黄色くなる)

    日本国内で、胆道がんと診断される患者数は男女合わせて年間約2万人です。日本では14番目に多いがんで男女比は同程度といわれており1)、決して珍しいがんではありませんが、世界的には希少がんに位置付けられています。
    50歳代から増え始め、70~80歳代に多く発症します。欧米に比べて日本を含むアジアなどで胆道がん患者の比率は高い傾向にありますが、人種差や地域差の理由は明らかになってはいません。

    <参考>部位別予測がん患者数(男女合計値:2022年)

    <参考>部位別予測がん患者数(男女合計値:2022年)

    <参考>部位別予測がん患者数(男女合計値:2022年)

    公益財団法人 がん研究振興財団. がんの統計2023資料編. P69.
    部位別予測がん罹患数(2022年)より作成

    胆道がんになる原因は十分には分かっていません。しかし、膵臓の管と胆管の合流する場所が正常より手前になっている生まれつきの病気(膵・胆管合流異常)、胆管の炎症(胆管炎)や胆石症などの胆道にある病気は比較的関連性の高いリスク因子といわれており、大腸や小腸の粘膜の炎症(潰瘍性大腸炎)なども胆道がんのリスクになるといわれています。

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    胆道がんとは?:1. 胆道について

    胆道がんとは?:2. 胆道がんについて

    1)公益財団法人 がん研究振興財団. がんの統計2023資料編. P69. 部位別予測がん罹患数(2022年).

    <参考文献>

    がん研究会有明病院、ほか 編. 胆道がんの治療とケアガイド. 金原出版. 2013年. P10-13.
    CancerNet Japan. もっと知ってほしい胆道がんのこと. 2021年. P4.

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  • 胆道がんの主な症状は?

    胆道がんは初期には症状がない場合も多く、個々の患者さんやがんの発症部位によっても症状の程度が異なります。胆道がんが進行してくると、がんが胆汁の流れをせき止めるようになってしまうため、黄色いビリルビンを含む胆汁が、血液中に回ったり尿中に排泄されてしまいます。そのため、白目や皮膚が黄色くなったり、便が白っぽい、尿の色が濃くなるなどの「黄疸」や、体のかゆみ(掻痒《そうよう》感)、右上腹部やみぞおちの痛み、全身の疲れやだるさ、体重の減少などが症状としてあらわれます。また、胆道がんではALPやγGTPなどの胆道に関連する血液検査の数値が上がります。

    がんが胆道の途中で胆汁の流れをせき止めてしまうことで様々な症状として現れる

    がんが胆道の途中で胆汁の流れをせき止めてしまうことで様々な症状として現れる

    以下のような症状があったり、定期健診の血液検査の結果でALPやγ-GTPの値の異常を指摘され精密検査を勧められたら、なるべく早く消化器専門の医師に相談し、必要に応じて検査を受けましょう。

    胆道がんの患者さんの多くが感じる
    自覚症状

    • 白目や皮膚が黄色くなる(黄疸の症状)
    • 便が白っぽい、尿の色が濃くなる(黄疸の症状)
    • 体のかゆみ(掻痒感)
    • 右上腹部やみぞおちの痛み
    • 全身の疲れ、だるさ
    • 食欲不振
    • 体重減少
    • 発熱
    • 右上腹部やみぞおちの痛み右上腹部や
      みぞおちの痛み
    • 白目や皮膚が黄色くなる(黄疸の症状)白目や皮膚が
      黄色くなる
      (黄疸の症状)
    • 便が白っぽい、尿の色が濃くなる(黄疸の症状)便が白っぽい、
      尿の色が濃くなる
      (黄疸の症状)
    • 全身の疲れ、だるさ全身の疲れ、
      だるさ
    • 食欲不振食欲不振
    • 体重減少体重減少
    • 発熱発熱
    • 体のかゆみ(掻痒感)体のかゆみ
      (掻痒感)

    ※上記の自覚症状のうち、「全身の疲れ、だるさ」、「食欲不振」、「体重減少」、「発熱」などは、胆道がん以外の病気でもよくみられる症状ですので、精密検査を受けて医師に正しい診断をしてもらうことが大切です。

    胆道がんが疑われる場合、血液検査と超音波(エコー)検査につづき、CTやMRIによる画像検査や内視鏡検査などの精密検査を行います。

    関連Q&A

    胆道がんとは?:2. 胆道がんについて

    <参考文献>

    日本肝胆膵外科学会 胆道癌診療ガイドライン作成委員会 編. エビデンスに基づいた胆道癌診療ガイドライン改訂第3版. 医学図書出版. 2022年. P8.
    がん研究会有明病院、ほか 編. 胆道がんの治療とケアガイド. 金原出版. 2013年. P18-19.
    CancerNet Japan. もっと知ってほしい胆道がんのこと. 2021年. P4.

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  • 胆汁の流れを良くするためにはどのような処置が行われますか?

    胆管がんによって胆汁の流れがせき止められると、胆汁の成分であるビリルビンが血液中にたまり、白目や皮膚が黄色くなったり、尿の色が濃くなるなど黄疸の症状があらわれます。また、胆管炎を発症することもあり、胆管炎を放っておくと、急に重症化し命にかかわる場合もあります。そのため、胆道がんの治療では、がんに対する治療とともに、胆汁の流れを良くする「胆道ドレナージ」を行うことが重要です。ドレナージとは、英語で「排水」を意味します。胆道ドレナージは、金属やプラスチックの管(ステント)を閉塞した胆管に入れて胆汁の流れを良くしたり、チューブを使って胆汁を体の外に排出したりするなど、いくつかの方法があります。主治医とよく相談し、ご自身にあった方法を選択します。
    黄疸が改善するまでの時間は、黄疸になってからの期間や胆管のつまり具合によってさまざまですが、胆汁がとどこおりなく流れるようになれば通常1~4週間で黄疸は改善します。

    胆道ドレナージの方法

    内視鏡的経鼻胆管ドレナージ:

    内視鏡(カメラ)を使って鼻から胆管までチューブを挿入し、胆汁を体外へ排出します。

    内視鏡的胆管ステント留置術:

    内視鏡(カメラ)を使って胆管と十二指腸のつなぎ目である乳頭部から胆管にステントを入れ、胆汁を十二指腸に排出します。

    内視鏡的経鼻胆管ドレナージ

    内視鏡的経鼻胆管ドレナージ

    内視鏡的胆管ステント留置術

    内視鏡的胆管ステント留置術

    経皮経肝胆道ドレナージ:

    おなかの外側から肝臓を通して胆管に直接チューブを挿入し、体外へ排出します。超音波(エコー)で肝臓の画像を確認しながら行います。

    経皮経肝胆道ドレナージ

    経皮経肝胆道ドレナージ

    超音波内視鏡下胆道ドレナージ:

    胆管と胃に新しい胆汁の流れ道をつくる方法です。超音波内視鏡を使って胃から胆管を刺し、細い針金(ガイドワイヤー)を挿入してステントを入れることで、胆汁を胃に排出します。

    超音波内視鏡下胆道ドレナージ

    超音波内視鏡下胆道ドレナージ

    胆汁の排出 外ろうと内ろう

    チューブを通して胆汁を体の外へ出す方法を「外ろう」と呼び、胆管にステントを埋め込み十二指腸へ胆汁を流し込む方法を「内ろう」と呼びます。

    外ろう:

    鼻あるいは腹部から細いチューブを出して、専用のバッグやボトルに胆汁をためる方法です。

    内ろう:

    胆管がふさがっているところにステントを埋め込んで新たな道をつくり、胆汁の流れを取り戻す方法です。ステントにはプラスチックステントと金属(メタリック)ステントの2種類があります。胆管がんの手術前にたまった胆汁を減らす場合は基本的にプラスチックステントを使用することが多いですが、手術しない場合は患者さんの状態に応じて、プラスチックまたは金属ステントを使用します。また、ステントは埋め込んだ後も詰まることがあり、適時交換する必要があります。

    金属(メタリック)ステント

    金属(メタリック)
    ステント

    プラスチックステント

    プラスチック
    ステント

    <参考文献>

    CancerNet Japan. もっと知ってほしい胆道がんのこと. 2021年. P8-9
    がん研究会有明病院、ほか 編. 胆道がんの治療とケアガイド. 金原出版. 2013年. P86-93

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  • 胆道がんの検査・診断法は?

    胆道がんが疑われる場合、血液検査と超音波(エコー)検査につづき、CTやMRIによる画像検査、内視鏡検査などの精密検査を行います。

    胆道がんと診断されるまでの流れ

    1. 黄疸(白目や皮膚が黄色い、便が白っぽい、尿の色が濃いなど)、右上腹部・みぞおちの痛み、疲れやすいなどの症状
    2. 血液検査・腹部超音波(エコー)検査
      血液検査でわかること:胆汁の流れがとどこおることで、肝臓の機能低下を示すALPやγGTPの数値が上昇します。
      腹部超音波検査でわかること:体の表面から超音波(エコー)を当てて、がんの有無や形、周辺の血液の流れ、胆汁のつまり具合、胆汁が溜まった部分などを確認します。
    3. CT、MRI検査
      CT、MRI検査でわかること:胆管のつまり具合、がんの有無、場所、周辺の血管や臓器への広がり、他の臓器への転移がないか、などをさまざまな角度から確認します。
    4. 精密検査
      診断を確定させるために、内視鏡(カメラ)を用いた検査を行います。
      がんの疑いのある場合⇒組織を採取して調べる生検・細胞診を行います。
    血液検査・腹部超音波(エコー)検査
    CT、MRI検査
    精密検査

    精密検査の内容

    内視鏡(カメラ)を用いた検査

    内視鏡を用いた検査は、下記の種類の中から目的に応じて適切な方法で実施されます。基本的にいずれの内視鏡検査でも検査前日から入院し、夜から絶食が必要です。検査時間は30~60分かかります。また、超音波内視鏡検査(EUS)以外は造影剤を使用するため造影剤による副作用にも注意が必要です。

    ・内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP):内視鏡(カメラ)を口から入れて十二指腸まで進ませて、胆管や膵管に画像を見やすくするための造影剤を注入し、胆のうや胆管の異常を詳しく調べる検査です。

    ・管腔内超音波検査(IDUS):ERCPで胆管や乳頭部に病変があるときに、内視鏡の先端にある小型の超音波を出す装置で胆管内や乳頭部の状態を調べる検査です。胆管の中に細い管状のエコー(超音波を出す装置)を挿入して胆管の内側の様子を詳細に観察する検査です。

    ・経口胆道鏡検査(POCS):ERCPで胆管や乳頭部に病変があるときに、細い内視鏡で胆管内や乳頭部の状態を調べる検査です。胆管の中に細い内視鏡(胆道鏡)を挿入して、胆道の中の様子を精密な画像として観察することができる検査で、手術を行うかの判断に有用です。

    ・超音波内視鏡検査(EUS):先端に小さなエコーがついている内視鏡(カメラ)を口から入れて、胃や腸などの消化管の中からお腹の中を調べる検査で、腹部エコーよりも細かな情報を得ることができます。

    生検・細胞診検査

    がんが疑われる場所から採取した組織や細胞を顕微鏡で観察し、異常がないかどうかを調べる検査です。がんかどうか、どのような種類のがんなのか、診断を確定させるために行います。

    <参考文献>

    がん研究会有明病院、ほか 編. 胆道がんの治療とケアガイド. 金原出版. 2013年. P20-28.
    CancerNet Japan. もっと知ってほしい胆道がんのこと. 2021年. P5.

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監 修

神奈川県立がんセンター

総長 古瀬 純司、がん相談支援センター 得 みさえ

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